西宮市の各分野で作られている事業計画などにリンクしています。

 

ESD 西宮市推進協議会


「同時代における他地域の幸せおよび次世代の幸せに責任を持ちながら、
                             自分たちの幸せのあり方を求める」
 

 ESD推進協議会では、こうした考え方をもとに、地域社会でESDを促進するための「推進体制づくり」や「市民や社会の育成プログラムづくり」など市民が生涯にわたって「学ぶ力」を育んでいくことができる「社会システム」を構築することの重要性を確認し合いました。
  こうしたことを実現するために、各エココミュニティ会議や学校教育などの場において、多様な主体のつなぎ手となるコーディネーターやファシリテーターを育成し、様々な主体が協働で持続可能な地域づくりを進めることができる環境を整備します。また、エコアクションカード活動を「(仮称)ESDカード活動」へと発展させ、環境のみならず様々な分野に関わる人々の支援によって、市民一人ひとりが持続可能な社会の実現に向けた多様な活動を行うことのできるしくみを確立していきます。

 
「国連持続可能な開発のための教育の10年」国内実施計画を策定 [2005年度]

 2002年、「持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグサミット)において日本が
「ESDの10年」を提言し、実施文書に盛り込まれました。12月、第57回国連総会において、持続
可能な開発の実現に必要な教育への取り組みを各国において推進するための「国連持続可能な開発のための教育の10年」が決議されました。現在、国連決議に基づき、ESDの10年の推進機関として指名されたユネスコにより、国際実施計画が策定され、世界各国で取り組みが進んでいます。
  日本国内においても、関係行政機関相互間の緊密な連携を図り、総合的かつ効果的な推進を図るため、『「国連持続可能な開発のための教育の10年」関係省庁連絡会議(以下、連絡会議)』を内閣に設置し、わが国における実施計画(右記参照)を定めました。

 
 わが国における「国連持続可能な開発のための教育の10年」実施計画(概要)
 〜この地球(ほし)を 未来へつなぐ 学びの10年〜 (2006年3月策定)

 <基本的考え方>
 ・2014年までに一人ひとり、各主体が持続可能な社会づくりに参画するようになるこ???????????????
 ・環境保全を中心に、環境、経済、社会の統合的な発展について取り組むこと
 ・開発途上国が直面する諸課題への理解と協力を強化すること
 

 <実施指針>
 @地域づくりへと発展する取り組み
  地域特性に応じた実施方法の開発、発展
 A教育の場、実施主体
  学校等の公的機関、地域コミュニティ、NPO、事業者、マスメディア等あらゆる主体が実施
 B教育の内容
  様々な分野を、環境、経済、社会の側面から学際的・総合的に扱う
 C学び方・教え方
  参加型アプローチを重視して、具体的行動を促す
 D育みたい力
  体系的な思考力、代替案の思考力、データ分析能力、コミュニケーション能力等
 E多様な主体の連携・協働
  各主体の連携の強化、コーディネーター、プロデューサーとなる人材や組織の必要性
 F評価
  企画、実践、評価、改善する過程の重視 


 <推進方策>
 初期段階の重点的取組事項
 @普及啓発・・・・・・・・・・・あらゆる教育現場で、ESDの普及啓発に努める
 A地域における実践・・・・・・・地域特性に応じた取組への支援
 B高等教育機関における取組・・・各分野の専門家を育てる過程でのESD実施の促進
  調査研究支援、各地域における主体としての取組支援

 国内推進方策
 ・ビジョン構築、意見交換 ・協議による政策決定、関係者の主体性の促進 
 ・パートナーシップとネットワークの構築・運営 ・能力開発、人材育成 
 ・調査研究、プログラム開発 ・情報通信技術(ICT)の活用

 各主体に期待される取組
 個人、家庭 ・学校 ・地域コミュニティ ・NPO ・事業者、業界団体 ・農林漁業者、関係団体 ・ マスメディア ・教員養成・研究機関 ・社会教育施設、公的な拠点 ・地方公共団体
 国際協力の推進
 ・国連機関等との連携・協力  ・アジア地域を中心とした地域レベルの協力の推進
 ・開発途上国における人づくり等への支援  ・各主体との連携、民間団体の取組の支援
 ・国民の国際理解の増進  ・国際社会への情報発信


 <評価と見直し>

 評価方法の検討、中間年での見直し、2014年における10年間の評価と、以後の検討を行う

 <関連省庁連絡会議>
 内閣官房・外務省・文部科学省・環境省・内閣府・総務省・農林水産省・経済産業省・国土交通 省・法務省・厚生労働省

 

 西宮市は、大阪と神戸の中間に位置し、住宅都市として発展してきました。都市部にありながら、身近なところに山・川・海などの多様な自然を有しており、このことがまちの魅力ともなり、現在、46万5千人の人口を有しています。これまで、地域住民や酒造メーカーなどの地元企業が石油コンビナートの進出や海岸埋め立て事業計画に対して、地域の自然や子どもたちの教育環境を守るために取り組みを行なってきた歴史があります。これらの市民や企業の取り組みは、1963年の「文教住宅都市宣言」という都市理念として確立され、1992年の市議会における「環境宣言」に関する決議などの取り組みへと継承されてきました。
2003年12月、人類にとって永続的な課題である「持続可能な地域づくり」をまちづくりの基本理念に位置付けるとともに、「環境学習」をこうしたまちづくりを支える重要な市民活動として捉え、市民・事業者・行政・学校・NPOなど様々な主体の参画と協働により、地域に根ざした諸活動を展開していくことを内外に表明するために、全国初の「環境学習都市宣言」を行ないました。まち全体が環境学習の場となるよう、官民の関連施設やフィールドを環境学習拠点として位置付け、市民の学習活動を支援するサポーターの養成や各主体・各世代に応じた環境学習システムの構築等を行い、「環境学習」がまちづくりの原動力となるよう事業展開を進めています。
この宣言は、2003年10月に「環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律」を施行させた環境省においても、その具体事例として注目されています。

 

 環境学習都市宣言では、環境学習を「私たちのくらしが自然にどう支えられ、自然をどう利用してきたかを考え、環境に対する理解を深め、自然・歴史や文化・産業・伝統といった地域資源を活用しながら、地域や地球環境との望ましい関係を築いていくために学びあうこと」と位置付け、「学び合い」「参画・協働」「循環」「共生」「ネットワーク」の5つの行動憲章を定めました。
「環境学習」を、「環境のため」の知識教育に終わらせるのではなく、まちや暮らしを自発的に改善していこうとする市民意識を増進させる「市民教育」としての位置付けを行ない、持続可能なまちづくりを展開していくことが重要だと考えています。
 小学生を対象とした「EWC(地球ウォッチングクラブ)エコカード活動」など、子どもたちを対象とした環境学習事業の実績をさらに発展させ、まち全体が環境学習の場として機能するよう、官民の関連施設やフィールドを環境学習拠点として位置付け、市民の学習活動を支援する人材の育成、各主体・各世代に応じた環境学習システムの構築等を行っています。そして、平成16年度には「環境学習都市宣言」を踏まえ、具体的な施策展開を図るために新環境計画の策定や各種環境関連条例を見直し、環境基本条例などを制定しました。「宣言」「計画」「条例」を貫く考え方は、「環境学習を通じた持続可能なまちづくり」と「市民・事業者・行政の参画と協働の推進体制の確立」の2本柱です。
 平成17年4月よりスタートした新環境計画の最重要施策には、市民、事業者、行政のパートナーシップによる環境まちづくりのための組織体制の確立を掲げています。計画の具体的な推進方策や進行管理を行う「環境計画推進パートナーシップ会議」、中学校区を基本単位とする地域の活動推進組織「エココミュニティ会議」などを設置します。これらの組織については、環境基本条例に設置根拠を持たせており、その重要性を強調しています。こうした「環境学習を通じた持続可能な(次世代を育む)まちづくり」を推進するための重要なキーワードとして「つなぐ」ということを重視しており、環境目標の達成に向けたプロセスを通じて、地域におけるコミュニティの活性化や市民・事業者・行政の参画と協働によるまちづくりを進めています。

 
@ 一人ひとりのエコアクションを社会につなぐ

 平成17 年度からは、小学生を対象に実施しているEWCエコカード活動における「エコスタンプネットワーク」のしくみを活用し、中学生以上の一人ひとりの市民の環境活動を支援するための「エコアクションカード事業」がスタートしています。

■ 地域に定着した「エコスタンプシステム」のしくみ
本市の小学生(約28000人)を対象としたオリジナルの環境活動として、「EWCエコカードシステム」があり、子どもたちは、学校や量販店、文具店、自治会などで環境学習や環境活動を行うと、「エコカード」に大人たちからスタンプを押印してもらい、一定個数が集まると「アースレンジャー」として認定されます。
平成10年からこれまでに、延20,000人を超えるアースレンジャーが生まれ、少なくとも250,000回以上のエコ活動が、大人たちの支援もあり、地域・学校・家庭の中で取り組まれており、「エコカードとエコスタンプの活動システム」が社会に定着してきました。


■ 市民のエコアクションをつなげるしくみ
市内では、小学生だけではなく大人たちも地域、家庭、職場、学校などで様々な「エコ活動」を行っていますが、その活動内容を全市的には把握できていませんでした。

しかし、一人ひとりの「エコ活動」は、地球温暖化の影響で日々の生活を脅かされている国々の人たちや、私たちの子どもや孫が将来において安心して暮らせる環境をつくるための重要な「環境保全のための資源」となります。こうしたことから、小学生での活動をさらにつなげるため、中学生以上の市民に対しても「エコアクションカード」を配布し、毎日の暮らしや仕事の中で環境を大切にした「エコ活動」を行った場合に、カードにエコスタンプを押印(サインも可)してもらえるシステムを導入しています。この活動に参加できるのは、西宮市に住み、学び、働く中学生以上の市民です。


■ エコスタンプの活動対象は8つの環境分野と環境以外の社会的活動

エコスタンプを集める対象となる活動分野は、環境学習都市宣言の行動憲章を基本にした「環境学習、学習支援」「まち美化活動」「資源リサイクル活動」「グリーン購入活動」「緑化活動」「自然体験活動」「温暖化防止の取り組み」「マイ・エコアクション」「環境以外の社会的活動」とします。

 

■ 市民の自主的なエコ活動を「未来基金」に積み立て
この活動では、事前登録を行う必要はなく、「エコアクションカード」を入手した時から自由に活動を始めることができ、自由に活動を終了することができます。活動終了後、エコスタンプが押印された「エコアクションカード」を事務局まで送ってもらいます。 事務局では、集まってきた「エコアクションカード」の「エコスタンプ」や「サイン」を、「エコポイント」として活動分野や地域単位ごとに集計し、「環境学習都市にしのみや・未来基金」に加算していきます。「未来基金」に積み立てられた「エコポイント」は、次代に引き継ぐ「市民の環境財産」として蓄積されていきます。積み立てられた「エコポイント」をどのように活用していくかについては、「まちぐるみのエコマネーシステム」として多様な可能性を持っていると考えています。このエコポイントの積み立て状況は、ホームページ「エココミュニティ情報掲示板」で公表されることとなります。

 
A 先人の知恵を学び、市民ボランティアが「町の語り部」として世代をつなぐ

 平成7年の阪神淡路大震災の経験から、地域の環境を理解するということは、自然保護の観点からだけではなく、地震などの自然災害とも上手に付き合っていくことが大切なことであることを体験的に理解しました。この経験から、1997年に「西宮市セイフティ&エコガイド事業」を立ち上げ、防災教育と環境教育の両面からの取り組みを推進することとなりました。

この事業では、市民が自らの暮らしを支えている地域の地盤や地形などの地理的環境や土地利用の変遷、ライフラインのしくみなどを体験的に学習し、地域の歴史・自然・文化を次世代に引き継いでいくことを目的としていました。市内各所の自然環境や歴史性を考慮した10の語り部コースを設定し、そのコースを説明できる語り部の養成セミナーを実施しました。セミナー卒業生による「語り部倶楽部」では、独自事業を企画するとともに小学校などで児童や教員を対象に語り部活動を行っています。
 

B 企業の環境活動を学校教育とつなぎ、社会の多様性や生き方を学ぶ

 特定非営利活動法人こども環境活動支援協会(LEAF)は、平成15年度から市内を含む周辺地域の約30の会員企業・事業所の参加を得、教育関係者と協働で循環型産業構造と消費者の役割を考えるための環境学習プログラムを研究開発し、小中高等学校で実施しています。企業プロジェクトでは、企業メンバーが「衣」「食」「住」「エネルギー」「びん」「エコ文具」をテーマとした各分科会を構成し、ライフスタイルと環境とのつながりを見直す体験型な学びの機会をつくりました。
この学習活動では、学習者(子ども)だけではなく企画者(教育・企業関係者)にとっても貴重な学びの場を提供しています。企業にとっては、社会、教育、経済活動とのつながりに気づき、企業の社会的責任について考える機会となっており、その活動は環境レポートやCSR(企業の社会的責任)レポートなどでも紹介されるなどの波及効果も生み出しています。

このプログラムは、企業会員が多いLEAFの団体性格を生かした独自プロジェクトであり、西宮市環境学習都市パートナーシッププログラムとして認定されています。
 
C 小学校6年間の環境学習プログラムで子どもたちの学びをつなぐ

 日本では、多くの地域においてクラス担任が毎年変わるという学校の運営体制があり、小学校における環境学習への取り組みは、学年ごとに単年度で完結することが多く、1人の子どもにとっての小学校生活6年間を通した学習カリキュラムとはなっていません。こうしたことから、西宮市は平成14年度に環境省の委託事業を受け、市内のモデル校において生活科や総合的な学習の時間の中で、保護者や地域住民、企業、NPO、行政が協働で6年間を通した環境学習カリキュラムを開発し、子どもたちに自然体験や生活体験、社会体験などを基本とした体系的な環境学習活動を提供し、今日に至っています。

 
@ 各世代の市民、地域事業者、行政の協力によるエココミュニティづくり 
 エココミュニティ会議とは、市内の中学校区を基本単位とした20地区において、市民・事業者・行政が協力して地域の環境まちづくりに関する課題を発見し、解決のために共に考え、行動していくための活動母体です。ここでは、既に各地区において様々な分野で活動を行っている各種地域団体(自治会、環境衛生協議会、社会福祉協議会、コミュニティ協会、青少年愛護協議会、学校園PTAなど)の方々を中心メンバーとして構成し、地域に根ざした活動を行っていきます。なお、地域によって各種地域団体の構成や活動範囲が異なるため、各地域の状況に応じた形態での区割やメンバー構成で、発足に向けた話し合いを進めています。
西宮市では、このエココミュニティ会議を地域に根ざした環境まちづくりを担う重要な活動母体と考えており、今後、市内の各地区において設置に向けた働きかけを行っていきます。
 
A 事業者・行政も参画し地域住民と協働で地域づくりを進めます

 エココミュニティ会議には、地域企業および市職員もメンバーとして参画します。企業の方々には「企業の社会的責任(CSR)」の考え方に基づいて、各企業が所有する事業のノウハウや経営資源等を地域での環境活動に活かしていただくなど、様々な形での社会貢献活動を通じて地域に関わっていただき、エココミュニティ会議においても、地域づくりの担い手としての役割を果たしていただけるよう働きかけています。 また、市職員についても環境局以外の職員も含めて全庁的に参加希望者を公募し、エココミュニティ会議のメンバーとして参画します。各地区エココミュニティ会議へ派遣された市職員は、他メンバーと同等の立場で地域づくりの一員としての役割を担います。
エココミュニティ会議に参画することは、地域の様々な分野の方々とのつながりを生み、また、地域特性や地域住民等のニーズを理解する機会となることから、本来の職場業務においても、こうした地域への「行政参加」の経験を活かすことができるものと考えられます。

 

B 地域づくりを話し合うためのしくみづくり

 エココミュニティ会議では、地域づくりを担う次世代の育成を重要な役割の一つとして位置づけています。そのためにもEWCエコカードやエコアクションカードなどの活動ツールを活用し、多くの若年層にも参画してもらえる場を設け、あらゆる世代の意見を地域づくりに反映できるよう努めていきます。
地域での活動においては、タウンウォッチング、バザー、清掃活動、学習会など地域の子どもから大人まで各世代の方々に関心を持っていただけるような活動を実施し、これらを通じて、様々な世代の地域住民がつながりを深め、地域づくりを話し合える風土を育てていくことを目指しています。エココミュニティ会議は、特定の活動を行うための新たな地域組織としての性格よりも、地域の様々な人たちが集まって、環境を切り口として地域づくりについて話し合い、その中で取り上げられた活動を行うための「場」であり、持続可能な地域づくりのための「しくみ」としての位置づけを行っています。地域の人々が互いに関わり、学びあうことで個々人が成長し、そして、そのことが永続的な地域環境の向上へとつながります。そのため、ここでは組織づくりに終始することなく、地域の様々な主体が手を取りあって、地域課題の解決に向けた「活動のプロセス」を積み重ねていくことこそが重要であると考えています。

 

C ホームページ「エココミュニティ情報掲示板」

 西宮市のホームページからアクセスできる「エココミュニティ情報掲示板」は、市内全域の環境情報を検索することができるとともに、地域で取り組まれる環境活動を「地域」「学校・公民館」「事業所」の単位で紹介し、参加を呼びかけたり、活動結果を報告することができるシステムになっています。

また、各エココミュニティ会議間の情報交換のツールとしても活用できるものと考えており、環境まちづくりのネットワーク基盤の一つを形成するものです。
Copyright(C)2007 西宮ESD All rights reserved.